Re:

一個人の感想殴り書き

コロナ禍で中止になったチケットに纏わる取引トラブル、youならどうする?

 

見切れ席アンケートについては個別意見をどうまとめるか攻めあぐねております。完成まで今しばらくお待ちください( ᵒ̴̶̷᷄௰ᵒ̴̶̷᷅ )

 

 

ところでまた新たに気になることが出て来たので、それについて。タイトルの通りです。

 

 

チケットの交換を予定していたけど、コロナの影響でセミロングラン公演の作品の一部が中止になりましたと。交換予定の片方が中止となり、片方が生き残っていた場合について。そんなお話。

Twitterアンケートは既に締切済

 

内容はこちら

とある舞台のチケットを、事前に別日公演(〇日⇔△日)で交換する取引をA氏とB氏がSNS上で交渉し決めました。受け渡しは当日手渡しと決めていた為、チケット券面の画像交換等も済ませ、あとは取引当日を待つだけという状態でした。

しかし公演が一部中止になることが発表され、交換予定だったチケットのうち、片方(〇日)だけが公演中止対象となってしまいました。


中止となった〇日のチケットを所持していたAさんの主張は「交渉は既に成立していた為、△日のチケットは【△日チケット⇔定価手数料】交換してもらわないと困る」

一方の公演実施が予定されている△日のチケットを元々所持しているBさんの主張は「チケットの交換を希望していた。このチケットは他の交換に出すため、取引をキャンセルさせて貰えないと困る。」

 

このケースの場合、正当性があるのはどっち?

 

争点と思われる事

取引交渉自体は既に完了し、券面の画像交換も済ませている。もし当日手渡しではなく事前郵送等で既に受け渡しが完了していたら、取引は完了として終了していた。

Bさんは自分の観劇公演数は減らしたくないため、あくまでチケットの交換を希望していた。

チケットは公演一部中止となった影響で、今から定価でのチケット譲渡を探すのは少し難しそうなレア度。当日券も厳しい。(参考程度に)チケ流では一般的に取引が完了した場合、中止になったチケットを貰った側が払い戻し手続きを行って終了…というのが一般的。

 

こちらの問題を以前Twitterにてアンケートを取りまして、その結果がこちら。

 

 

結果としてはBさんの主張への投票が多かったですが、締切の前日くらいまではほぼ同率で推移しており、悩ましい問題である事が伺えます。

 

お題箱でも1件ご意見を頂きました。

f:id:milky2525:20201022140930j:image

ありがとうございます。

 

 

これを踏まえてまず私個人の見解から。

 

確かにめちゃくちゃ悩ましい事案だと思います。ただこのアンケートを作る時に「あくまでこの取引は交換取引だった」という事に着目し、そうするとやはりお題箱で頂いた意見にほぼほぼ同意せざるを得ないかな…という感じです。交換を前提として進めていた取引なので、不可抗力だったとはいえ交換が困難となってしまったのであれば、取引自体をご破算にしたいという意見に反論は難しいのかな…と思います。

 

仮に当日受け渡しではなく事前受け渡しと決めて、公演中止が決まる前に実券の交換を済ませていた場合。その場合は取引は完全に成立し完了しているため、恐らく中止になったチケットを受け取っているB氏が払い戻しをして終了…になっていたと思います。こればかりはもう運だったのかなって。

 

ここまでは私個人の見解でした。

 

 

 

さて、しかし。今所有権等についての法律についてちょっと調べてみると、少し話は違うようです。

あくまで以下は売買契約についての法律を当て嵌めて、法律ずぶのド素人が独自解釈をしているので、あんまり信用しないでください()

以下の引用元→ 売買契約についての注意点 | さいたま・上野御徒町の法律相談なら弁護士法人 阿部・楢原法律事務所

 

まず「互いのチケットの財産権はいつ移転されるのか」という点。

売買契約を締結するにあたっては、売買の目的物がいつから自分のものになるのかという点も1つの重要な要素になります。 法律上、「○○を売り渡す。」という内容の合意がなされると、財産権も同時に移転する、というのが原則です。例えば、“自動車を○○円で売ります”という合意をすれば、その時点で自動車の所有権が売主から買主に移転すると考えられています(民法176条参照)。

 

つまりこのケースも事前に取り決めをしていない限りは、事前交渉を完了した時点で該当チケットの財産権はA氏⇔B氏でそれぞれ交換されていると考えられます。

 

そして今回のようにチケットが片方中止により無効化されてしまったケースの話も、民法において近しい取り決めはあります。

 

「希望していた自動車が手元に届かない」の意味としては、以下のようなパターンが考えられます。
① そもそも自動車が届いていない

①-1 単純に自動車を引き渡していない

①-2 自動車が滅失してしまい、引き渡せない
② 自動車が届いているが、問題がある

②-1 契約書の定めと違う自動車を届けてしまった

②-2 自動車の不備・不良があった

このうち実務上特に重要となるのが、①-2と②―2のケースです。これらの場合を想定して、民法上の規定も存在しますが、当事者がこれと異なる救済方法を望むのであれば、それを契約書に記載しておく必要があります。以下、詳しく説明します。

 

(1)自動車が滅失した(①-2のケース)
民法上、売買契約締結後に売主の責めに帰することができない事由によって特定物が滅失した場合、その不利益は買主の負担になる旨が規定されています(民法534条1項。不特定物について2項も参照)。上記自動車の売買の例でいえば、売主は自動車を譲渡する義務を免れる一方で、売買代金を請求する権利は失わないことになります。

しかし、目的物を滅失したのに代金を支払わなければならないというのは納得できない方もいらっしゃるでしょう。そこで、当事者の責に帰することができない事由によって目的物が滅失した場合に、どのように処理するのかを契約書に明記しておくと良いでしょう。例えば、「自動車の引渡し前に、当事者の責に帰することができない事由によって自動車が滅失または損傷したときは、その危険は売主の負担とする。」(≒代金は支払われない)というようなものです。

 

つまりA氏のチケットは売主の責めに帰すことが出来ない理由(コロナによる公演中止)で事実上滅失してしまったと言えます。そうなると法律上ではその不利益はB氏が負担することになりますので、B氏が中止になったチケットを払い戻す(=定価+手数料と交換)とするのが法律上での考え方になるようです。

 

 

ただし繰り返しますが、これは法律ずぶのド素人が類似事例を元に解釈した事柄であること、またチケットのそもそもの財産権等は主催に帰属する*1という考え方もあるので、必ずしもこの解釈が通用する訳ではありません。

 

 

 

こういうトラブルを生み出さないように、チケット取引においては公演中止になった場合の取り決めは交渉の時点でお互いに明示しておく必要性がありそうですね。私も気をつけます*2

 

 

この件につきましてのご意見等は、当方のお題箱にてどうぞ。頂いたご意見の掲載は基本的に当方Twitterにて行いますのでご了承くださいませ。

 

*1:つまりチケットの「紙」としての所有権は持ち主に帰属するが、チケットとしての利用権は主催にある

*2:いうて最近知らん人と取引とかしなくなったけど