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一個人の感想殴り書き

作品紹介タグより、JYUKAI-DEN ~各論編~


JYUKAI-DENシリーズの概要はこちら
http://milky2525.hatenablog.com/entry/2019/03/16/042139


このエントリーでは無印~KINGSまで、それぞれのおすすめとか感想とかを書いていくよ!物語の順番(上演順番とは逆)に書いてくよ!

3作品目 JYUKAI-DEN KINGS(以下KINGS)

■introduction

まずは公式サイトから

「ゲーム『KINGS』のルールは二つだけ。

 ・五人以上の“賢者の末裔”で挑戦すること。
 ・キングスの塔、最上階にある王冠を手にすること。

王冠を手にした者は塔の王となり、それ以外の者は王に絶対服従となる。 …尚、一つだけ注意すべき点がある。 キングスの塔には、数人の“鬼”が潜んでいる。 殺されないよう、十分に気をつけてほしい。」

なんとしても王冠を手に入れたい賢者達は、偶然出会った【弥代(やしろ)】・【汰熊(たくま)】・【硯(すずり)】・【ひばり】【天道(てんとう)】【みょうが】と共に、『KINGS』に挑戦する。 そこに待ち構えていたのは、【賀王(がおう)】率いる“鬼”の軍団だった…。

JYUKAI-DENシリーズ新作にして奇怪作。 一つの王冠を手にするため、鬼と賢者の末裔で、今、デスゲームが始まる。

「強さが…正義だ!」

そしてその先は?

つまりこの作品は3賢者(+2賢者)の出会いから始まります。汰熊と弥代は既に出会っており、この2人が硯と出会うところが1番最初のシーンとなります。王冠を手に入れたい賢者達は、それぞれの思惑を持ちながらひょんな事から出会い、6人のチームを作り、KINGSのゲームに挑むこととなりました。塔の最上階を目指し、殺すか殺されるかの戦いを…。

■この作品のポイント

1.鬼は忌むべき悪の存在、自分達が正義
物語の時系列で言えばシリーズで1番過去にあたるKINGS。賢者達は概要編でも書いた通り、鬼はこの世から殲滅させる忌むべき存在であるという認識でいます。鬼とエンカウントしたらとにかく始末する。それが使命であり当然の事と思っています。なので鬼と戦う時も容赦ないです。

2.闘いの中で彼らの心の中に出来た小さな綻び
ちょっとこれはネタバレになっちゃいますが、ゲームを進めていく中で、賢者達は無事に次々と鬼を倒していきます。しかしその鬼達の末後の訴えを聞き、賢者達の心の中にはほんの小さな…小さすぎて彼ら自身も気づかないような小さな綻びが生まれます。その綻びがこの後のお話を通じて大切なKeyとなります。

3.ラスボス・賀王が望んでいたものは
鬼達も賢者達も犠牲を伴いながら、賢者達は塔の最上階を目指します。その中で次々と明かされる衝撃の事実達。そして王冠を目前に賢者達の前に立ちはだかる、このゲームの黒幕である鬼・賀王。彼…彼等は何故、このゲームを仕組んだのか。その理由は意外なものでした。果てしてこの物語を少し俯瞰で見た時、正義はどこにあるのか…?

■硯のポイント

この物語の1番最初は彼のお腹の音から始まります()最初は拾われた子猫みたいに弥代と汰熊にシャーシャー威嚇するけど、あっさり(主に胃袋で)手懐けられる、笑。その後に出会った「天道」と「みょうが」にもやっぱり最初はシャーシャーしてたけど、とある出来事がきっかけで天道をリスペクトするようになり、後に続くシリーズに通じる名言やノート、技(?)の誕生に繋がっていきます。繰り返しますがKINGSの方が無印桃源よりも上演時期が後なので、今までの過去作で登場してきた設定を逆算して肉付けしていってるんですよね。瀬戸っちの工夫をたくさん感じられます。
あと上演時期が無印→桃源→KINGSということで、KINGSが3つの中では最新作になります。そしてKINGSの頃には瀬戸っちもかなり殺陣も上達していたので*1、話の時系列でいくとKINGSから無印に向かって弱体化していく(笑)という矛盾が発生しています、笑。でもそこは「鬼に対する感情の変化(この時は鬼殺すマンだったから…)」という事として私は脳内解決させています、笑。



2作品目 JYUKAI-DEN 桃源(通称・桃源)

■introduction

公式サイトから

樹海の森深く、孤立した場所にある水源豊かな桃源(とうげん)の村。その樹海の森に何の目的か鬼が住み棲みついた。
外交の絶たれた桃源の村では、村の長である大成(たいせい)、側近の天人(あまと)を中心に、鬼との戦の準備が行われていた。
村の守人である二心(にしん)と光夜(こうや)は、鬼を倒し森を通って来たという旅人、硯(すずり)、汰熊(たくま)、弥代(やしろ)と出会い…
閉ざされた村の言い伝え…鬼の目的…賢者の末裔シリーズの新たな物語が幕を開ける。

この作品はKINGSから更に旅を続けていた3賢者が「桃源の村」を訪れた時の物語。ここではKINGSと異なり賢者と鬼に加え「人間」という存在が出てきます。鬼を忌むべき存在とする賢者と人間は結束し、鬼の討伐を決めます。しかしその村に、その討伐を密かに複雑に思う人物がいて…。鬼と関わる中で、長年隠していた衝撃の事実が発覚。それぞれ個性豊かな鬼達と実際に対峙していく中で、賢者や人間達に迷いが生じます。そして最後は衝撃の結末が…!KINGSで生じた小さな綻びは、ひとつの答えに結びつく…。

■この作品のポイント

1.二心(にしん)という人物
この物語の主人公(主演)の1人がこの二心という青年です(演・猪野広樹)。初っ端ネタバレしますが、彼は人間と鬼のハーフなのです。その事実を知っているのは村のほんの一部の人間のみ。二心と親友であり相方であるもう1人の主人公(主演)の光夜(演・木戸邑弥)すらその事は知らないのです。森に鬼が住み着き、とある出来事がきっかけで二心は鬼と接触します。そこで鬼に騙されてしまい、そこから結果として彼が鬼であることを村の人々に知られてしまいます。彼は純粋な青年であり、純粋である故に苦悩し、鬼と人間のそれぞれの立場に苦しむことになっていきます。

2.誰が「悪」なのか
今作も個性豊かな鬼達が登場します。彼等にもそれぞれ事情や思惑があり、この森に住み着き集まって行動していました。彼等が何故この森に住み着くようになったのか、人間を襲うのか。その理由は鬼が誕生するきっかけとなった過去に遡ります。元は同じ人間であるということ、それにより受けてきた迫害と弊害。これは今を生きる私達にもどこか心当たりがあることなのかもしれません。立場を少し変えてみた時、正義は悪にもなるし、悪は正義になるのかもしれないのです。

3.賢者達がこの物語で悟ったこと
この物語の序盤では、彼らはまだ自分達の存在が絶対の正義であると確信しています。鬼は忌むべき存在であり、この世から消え失せるべきものであると。ですがこの物語を通して、KINGSで生まれた小さな綻びはより大きなものになっていきます。彼らの訴えを聞き、刃を交えていく中で、それは確信に変わる…。衝撃の結末を迎えた後、彼等は何に気付き何を思うのか…。これは次に続く「無印」への大きな布石となります。

■硯のポイント

相変わらずこの作品においても安定の厨二病を発病しています、笑。KINGSで爆誕したとある技(?)ですが、この物語で失われてしまいます。あ、そんな大したあれじゃないです、もっとやばいのに生まれ変わるだけです、右手に何かが宿るだけです()
特筆したいのはそれが宿ることにおける、瀬戸っちの細かいお芝居。ほんと永久に観てられるくらい楽しいです。舞台のセンターで進んでいく主軸のお芝居を邪魔しない本当にギリギリのラインで右手に宿った何か()といろんなことしてます。右手に宿った奴()との出会いと衝突(?)と和解…舞台の端でちょこちょこするお芝居の中にもそんな裏ストーリーが表現されています、笑。円盤でどれだけ楽しめるかはわかんないけど…ほんと好きでした。殺陣はこの作品の後に主演したセカキュー*2で覚醒するので、覚醒前だけど一生懸命頑張る姿も必見です。



JYUKAI-DEN(無印)

■introduction

公式サイトから

賢者の末裔《稲羽》はその昔、美しき鬼《白兎》と出会い親友になる。白兎と共に鬼と人が共存出来る世界を願い理想を語り合う幸せな日々を過ごしていたが、稲羽は賢者の末裔の使命の為、鬼と人が共存出来る世界を作る為、白兎と別れて旅をする決断をする。白兎も鬼と人が共存出来る世界を作る為旅に出たのであった。
数年後、《稲羽》と賢者の末裔《天月》《硯》《汰熊》《弥代》は『先祖が作った秘薬』により先祖代々強力な力を持つ。その代償として賢者の末裔はそれぞれ呪いをかけられていた。その呪いを解く旅、鬼と人が共存出来る世界を作る為、秘薬の村を巡る旅をしている。
鬼に襲われるある秘薬の村で、賢者の末裔達は鬼が人を襲わないよう説得に向かう。
そして、稲羽は何年ぶりかに白兎と再会する。白兎は、人を恨む鬼、童子の一味(かぐや、雉音、金)に入り1人悩み苦しんでいたのだった。

支え合わないと生きていけない、それぞれ違った悩みを持つ、斬新なヒーロー達の錯綜した思惑がぶつかる、衝撃のアクションエンターテイメント!!

共に戦え

この物語は桃源の村を出て旅を続けていた3賢者が稲羽と天月と出会い、5人で旅をしている時の物語。ここまでの3作品での時系列としては1番新しい時間軸での物語になります。桃源のネタバレになってしまいますが、鬼と人間(賢者)との共存出来る世界を目指すようになった彼等が出くわした出来事のお話です。
しかし今改めて無印公式サイトの人物紹介読んだけどほんと面白い普通に笑った

■この作品のポイント

1.戦隊×水戸黄門
5賢者にはそれぞれイメージカラーがあり、それぞれ個性豊か。このシリーズの前作にあたる「呪解旅」もゴレンジャー的な戦隊をモチーフにしているそうで、そこを受け継いでいます。そのため(?)3作品の中でも特にコミカル要素が強めです。もちろん落とすところはきっちり落としてきますが、笑。

2.鬼と人との共存を目指す、故の苦悩
先の2作品と大きく異なる点としては、5賢者の中では鬼は必ずしも100%忌むべき存在ではなくなっているという所。彼等はこれまでの旅の中でいろんな事を知って学び、「鬼だから」という概念ではなく、それぞれをちゃんと「個」として見ているんですね。そのため彼らは決して鬼を無闇に討伐するのではなく、分かり合えることを信じて平和的な解決を望み、その為に動いています。
ですがやはり「鬼は悪である」「人間は悪である」と思う人々は多くいる訳で、一筋縄ではいかず、苦悩し、時に望まない状況でも刃を交えていきます。

3.仲間という存在
白兎は鬼と人とが共存出来る世界を目指しているにも関わらず、人を忌むべき存在とする鬼達と行動を共にしていました。何故彼等と行動を共にするようになったのか。共にせざるを得なかったのか…。それは自身が鬼である故の苦悩がありました。その中で彼が下した決断は、彼にとって大切なものは何なのか…。

■硯のポイント

コミカル要素が比較的強めである今作において、みんなやべえやつなんですが()頭抜けてやべえやつが硯です、笑。初舞台からおよそ1年2ヶ月を経ての作品となりますが、その強烈な厨二病キャラで経験豊富なキャストが演じる他のキャラ達を食い殺す勢い。私的にもこの作品を観劇したことで「君に決めた☆彡」と推し変に至ったので、それくらい大好きで思い入れも強いです。そしてそれくらいインパクトがやばいw
今作では桃源で爆誕した右手に宿った奴()を引き続き従えております。そしてKINGSでも触れた通り、瀬戸っち自身がこの時本当に初めて日本刀握りましたっていう状態なので、今観ると本当に微笑んじゃうくらい殺陣が拙いです。でも逆に言えば、ここから1年で殺陣をものにして、そこから更に1年後には艶ステ(初演)でのあの刀捌きに至る訳ですから、如何に努力を重ねて今ステージに立っているか改めて実感出来ます。
ちなみに彼の見せ場のシーンでは専用BGMが流れるのですが、観劇を重ね*3ると、BGMが流れただけで普通に笑っちゃうくらい調教されます、笑。



逆算して進む物語の面白さ

何度も言いますが、上演した順番は無印→桃源→KINGSですが、物語の時系列はKINGS→桃源→無印です。最初から3部作と決まっていたものではない*4ので、それぞれの物語の繋がり方がより魅力的に感じられます。例えば瀬戸っち演じる硯のいろんな設定。最初に生み出した右手に宿った奴()の誕生秘話は後から桃源を作るにあたって出来たものです。そしてとあるキャラがKINGSで対峙した鬼の最後の台詞が、桃源でも語られていたり。桃源で軽く触れられていた3賢者の出会いがKINGSで細かく描かれていたり。そして何よりも賢者達の気持ちの変化。この逆算して繋がっていく面白さを体感していただきたいからこそ、私的なおすすめ鑑賞順番を上演順番の準じて…とおすすめしたいのです。

制作会社に囚われないで()

このシリーズの制作はちょっとあまりよろしくない事で名前が有名な「はぴどり」です。私自身スーパードライな人間*5なので、これまでの幾多の騒動も「(はぴどりの)自業自得やな」と割と客観的に見ているつもりです。ただ、ここの制作陣の「観る人を楽しませたい」という心意気はいつも感じていて、それは実際にお話とか現場とか踏んできてのお人柄からも感じられます。制作会社としてはだいぶアレだけど、笑。
原作有りきの作品ではちょっとアレ…みたいなこともあるようですが、原作がないオリジナル作品はこのシリーズ含め他作品も結構良作だと思います。なのでどうか制作会社のことは1度忘れていただいて()作品を楽しんでもらえたら嬉しいです。作品に罪はないってほら最近よく言われてるし。

異質である「TOU」について

硯が出ておらず結果通ってないためほとんど触れませんでした、シリーズ最終作の「JYUKAI-DEN TOU」。
こちらはこれまで紹介した3作品とはかなりテイストが違う、個人的にはいい意味での虚無舞台。ただシリーズを把握してないと別の意味でも虚無()になりかねない諸刃の刃(?)そしてシリーズを把握してる身でも通い現場になってたら心が死ぬから勘弁して欲しい。
TOU観劇当時の感想がこちら。ネタバレ有。

私が瀬戸っちに転がり落ちた作品

です。こちらの無印を暇だったので*6ふらっと調べて観に行ったっていう究極に偶然の重なりの中での出会いでした。観に行った時のこととかはちょいちょい書いてるので割愛しますが、この無印観劇後に「あ、私大丈夫間違ってない」って思えたのが、無印終演後の脚本演出家・鈴木茉美さんのブログを読んだ時です。

続いて。
大人気(?)
硯。

お気づきだとおもいますが、名前は全て日本昔話の組み合わせ。
硯は、「ねがいの戒名」という話に出てくる、鷹硯寺から。
犬鷹と合わせで。

なんでこの呪いにしたのかというと、今回、ライブステージということで、キャラクターは結構当て書きやその人をできるだけ活かせる方向になってます。

瀬戸とは会ったことなかったのですが、

写真をみて、すんなり、


「あ、中二病だ」


と思いました。

中二病って、舞台の役として出てきたのをみたことがなかったので結構冒険でした。
かっこいいセリフをかっこつけていうことが普通に成り立つ舞台の世界。
いやいやそれ逆に面白いから。という気持ち。


最初、瀬戸が持ってきた硯はナルシストでした。
それは違う。
中二病はナルシストじゃない。
その世界が本当だと信じきっているんだと。
とても悩んでいました。
そこで私が彼に与えた課題は、皆様ご存知、



「ノートを作ってこい」



でした。

中二病は誰にもみられたくない秘密のノートを持っている。
そこに自分が本当にそうだと思っている世界を書き記している。
お前の本当の世界の設定をノートに作ってこい。」


彼はほとんど寝ずにノートを作ってきました。

そこで生まれた硯ノート、朱雀の設定。
やはり彼は素質がありました。



中二病の。



本人の持っている性格と硯のキャラクターがとてもいい味を出しました。
人の良さ。
人との距離感。

硯というキャラクターが、瀬戸によって生まれました。
愛される中二病

ノートを作ってきたことがきっかけで彼はどんどん覚醒し、
アドリブをどんどんぶち込むようになりました。

何をやってもちゃんと成り立っている。
彼にとってそれが本当の世界。

中二病を見事演じ切ってくれました。


優しい中二病


そんな瀬戸でした。

引用元 https://ameblo.jp/suzuki—mami/entry-12074087267.html

覚醒前()に観に行くチャンスはあったし*7、それをリアタイで観たかったという後悔はあります。ただこれだけの努力を重ねて、覚醒して。その末に出会えたからこそ、即刻転がり落ちたのかなぁなんて思います。私が欲してたもの、観たかったものを魅せてくれた。そしてこうやって努力を積み重ねて苦手にも向き合って乗り越えてく人だと、この時から証明してくれていて。それはその後の作品でも、そしてリアルタイムに今もいろんなことに挑み続けています。本当に出会えて良かったです。そういう意味でも私はこの作品への思い入れが強いし、この作品が世に生み出されてなかったら、たぶんタイミング的にも瀬戸っちに出会うことなく、出会っても初見の時同様カッコイイひと!で終わってたかも*8



今でも円盤買えるのかなぁ?買えるよね?笑。もし円盤回収している方がいたら、是非このシリーズを観て頂けたらいいなぁって、勝手個人的に思う次第です。

*1:無印と桃源の頃はまだ殺陣苦手マンだったので

*2:世界は僕のCUBEで造られる2016

*3:と言っても私は無印は1回しか観ておらずなのですが

*4:作者の中では構想があったのかもしれませんが、少なくとも演者や客側は最初から逆算してのシリーズになることは想定されていない、はず

*5:そしてビールはスーパードライが一番好き

*6:仕事だと思ったら休みだったのでいきなりノープランな1日になったのと、しかもメサイアの当券が取れなかった

*7:ストラバ改

*8:それはこの作品がなければ瀬戸っちが成長してないとかではなく、たぶん私がおたく上がってるか他の推しに流れて、予定通り1年限定おたくしてやっぱりおたく上がってたと思う…という意味。出会うチャンスがなかっただろうなってことね。瀬戸っちはたぶんどこにいても着実にステップアップしていったと思うよ。